インタビュー

interview

「思い」へのゴール、そしてスタートへ

株式会社アクティス創業者3氏に聞く

【2017/7/17発行:新日本保険新聞インタビューより】
株式会社アクティス(神奈川県横浜市)は今年3月、共同代表2氏の滝本圭氏と音田和臣氏に津田諭子さんが加わって立ち上がった新進気鋭の保険代理店だ。3人はAIUの研修生時代をほぼ同時期に過ごしたメンバー。研修生のときから、卒業後に3人で法人代理店を立ち上げる旨を周囲に公言してきた。そして今、その目標が現実となり、法人代理店としての新たなスタートを切ることになった。

AIUの研修生3氏が設立
独立前から共同運営を公言

―今年3月に法人代理店を設立したということですが、今日に至るまでの経緯は。

滝本 共同代表の音田とは研修生の同期で、ともに2015年12月に卒業し、その後一年間は個々の屋号で代理店をしていました。津田はまだそのとき研修生でした。今年の3月に彼女も独立したので、それと同時に3人で法人アクティスを立ち上げました。私と音田が共同代表になり、津田は正社員という雇用形態です。この場所はアクティス設立にあわせて構えました。それまでは別々の場所で活動していました。

―研修生卒業後すぐに複数メンバーで代理店を立ち上げるケースはめずらしいのでは。

滝本 AIUの代理店研修生の多くは、卒業後に自身が個人事業主として、あるいは直ちに法人化して、店主である自身が活躍しながら事務員や募集人を採用して代理店を大きくしていくことを想定しています。 そうした中で私たちは3人で研修生の段階から、独立後にともに代理店をやろうという意識をすりあわせて、卒業後はそのとおりに3人で法人を立ち上げようという話をしてきたという意味で、めずらしいケースだと思います。共同代表でやっていこうということも私と音田で研修生当初から決めていました。

―実態は3人が個人事業主のように活動して一つの法人に在籍するというモデルもみられますが、こうしたことでしょうか。

滝本 いえ、違います。給与は2人が同額の役員報酬、津田は歩合のある固定給にして、3人がそれぞれ個人事業主のように動くというのではなく、あくまできちんとした組織を作っていこうという考えのもとでのスタートです。それに際して、自身がトップに立って会社運営を進めていきたいという思いを3人とも持っていなかったということです。

音田 間違えられがちなのですが、同じ法人のもとでそれぞれが運営費用を負担し合って収入は各自の業績に基づくといった実質的に個人事業主の集まりのような組織にはしたくないという思いは、最初から強く持っていました。

―共同代表のお二人の研修生時代の業況は。

音田 私と滝本は研修生のときから、よい意味で同じような業況でここまできました。2人の業績があまりにも大きく開いていたら、もしかしたら今のような体制でのスタートを切れなかったかもしれません。決して意図的に業績を同じくらいに合わせてきたわけではありませんが、どちらかが業績を伸ばしたときは自分も同じくらいになるまでがんばろう、という思いはありました。何せ、一緒にやるとすでに決めていましたから。2人で酒を飲みながら、あなたがもっと業績を伸ばしてくれたらそれがプレッシャーになって自分も本気になるから、もっとがんばってよ、といった話は冗談半分でよくしていましたね(笑)。

―研修生のときから卒業後の姿について話し合いを。

滝本 そうです。私と音田は2010年のほぼ同時期に研修生として入社しました。互いに気が合ったということもあり、入社後数か月にはすでに、卒業後は一緒に法人を立ち上げてやっていこう、と話し、他の研修生や保険会社の社員の人たちにもその旨の考えを明言していました。 一方の津田は1年後の2011年に研修生として同じ支店に入ってきました。3人の研修期間が重なっているときにいろいろと話をするなかで、私と音田に加えて津田も入れた3人で代理店を立ち上げようということになりました。会社を立ち上げる際は2人よりも3人くらいのほうがよいかもしれないという話を音田としていて、同じ研修生のなかでバランス感覚もよく営業実績が非常に高かった津田に声をかけることにしました。その後、津田からも卒業と同時に加わる旨の返事をいただき、3人でスタートさせることになりました。

―構想どおりに進んだのでしょうか。

滝本 私と音田は一足先の2015年12月に卒業。翌年の津田の卒業までは2人で先んじて法人を立ち上げるのではなく、別々の屋号で個人事業主として代理店をしながら津田の卒業を待っていたという状況でした。

音田 予定どおり2016年12月に津田が研修生を卒業し、満を持してという思いで法人立ち上げの準備を始め、今年3月に株式会社アクティスを設立したという流れです。

自身の成長と組織の成長 新たな組織モデルの試金石

―保険会社の反応は。

音田 研修生時代から共同で代理店を興そうと考えるケースはAIUでも非常にめずらしいようで、今でも当社の成り立ちについての講演依頼などがあるほどです。

―そもそもなぜ、共同でやろうということになったのでしょうか。

滝本 研修生のころに音田と2人で話をしていて、共通点や価値観が近いというのがまずあったのですが、一番の要因は、2人とも周りの研修生と比べて、自身の力で成功していきたい、社長・店主として代理店を大きくしていきたいというような欲が少なかったからだと思います。それは決して、代理店として成功するための意欲が小さいということではなく、自身の力だけでやっていこうという考え方ではなかったということです。

音田 ですので、自身の成長への欲というよりは2人で法人を立ち上げて、きちんとした会社を作っていこうという思いのほうが強かったですね。あとから話に加わった津田も、その考えに賛同してくれたというのが実情です。

―3人でスタートした感想は。

津田 よかったと思います。この機会に今の事務所を探して働きがいのある職場を得ることができましたし、その環境のもとで一緒に働き始めることができましたから。 まだスタートして数か月に過ぎず、今後いろいろと課題もでてくるとは思いますが、当初から描いていたようなイメージでスタートをまずは切れたと感じています。

―それでも大変なこともあるのでは。

津田 組織での活動という意味ではすべてが初めてのことですので、活動が習慣化できていないという大変さはあります。ただ、それも数か月すればある程度のリズムがつかめるのでしょうから、ばたついてはいるものの不安感はありません。むしろ、念願のスタートですので楽しい思いのほうが強いですよ。

―当面は今の体制で?

滝本 3人の立場や考え方は当面は変わらずに進めていくと思いますが、事務スタッフを採用したいとは思っています。

―営業活動は。

音田 3人とも、研修生のときからの地域や基盤での営業を引き続き行っています。主要な活動地域は、滝本が川崎市中心で私が東京都大田区周辺、津田が横浜市の中心部周辺で、たまたまうまくずれているので結果的に好都合でした。 基本的には、建設業や運送業などの危険職種を対象に保険提案をするといったやり方です。当社の業績の約9割がこのマーケットです。

滝本 私はAIUと大同生命が法人会の会員企業向けに提供する経営者大型保障制度を取り扱うことが多いです。これは生命保険と損害保険のセットによる長期保障に資産形成機能をプラスしたプランになっています。 音田と津田はテレアポでの新規開拓とお客様からの紹介で業績を伸ばしてきました。私はほとんどテレアポをしませんので、2人が電話をかけているようすを見ていると、いつもそのうまさに感心しています。

―3人の業績にずれが生じたら支障はでないでしょうか。

音田 組織で代理店を進めていこうという考えですので、個々の業績の浮き沈みがチームワークに影響を与えることはありません。業績の考え方としては、3人それぞれの業績の多寡ではなく合計金額を常に念頭に置くようにしています。もちろん目標数値も一人ひとりに振り分けるのではなく会社全体のものとして設定するようにしています。個々が個人事業主の集まりのような考えでいると、こうしたやり方はできないと思います。

―共同代表としての経営面は。

滝本 経営面については適材適所の観点で、役割を明確に分けるようにしています。具体的には、私が保険会社対応面を担い、音田が経理全般を担っています。

―改めて今の心境を。

音田 3人で代理店を始めることが研修時代に描いていた卒業後のゴールでした。一方で、これから組織を進めていかなければいけませんから、今がスタートという思いもあります。私たちの第一章が終わり、第二章が始まったという心境です。 ―ありがとうございました。